「なんや、すまへんなぁ・・・。」
「いいよいいよ、狭いけどくつろいでおくれ。」
「ほな、おじゃましまーす。」
プロローグ〜虎と子猫とちぃさな鈴〜
ワイは・・・ワイはきっと世界一の幸せモンや・・・。
「荷物持たせちゃって申し訳ない・・・。」
「気にせんでや!
泊めてもらう上にメシまでご馳走になるんや。
こんぐらい働かんとバチあたるで。」
見ての通り、今日は姫さんの家にお泊りするんやー!!
***
時は遡ること数時間前。
「よう考えたら・・・ワイ行きの電車賃しか持ってけーへんかったんや。
今晩ここに泊めてーな♪」
「セキュリティ面で問題大有りでしょうよ。
しょうがない、うちに来なよ・・・ご飯も出してあげるからさ。」
「ほんまに!?おおきに姫さん!!」
ジムの皆の反対を振り切り、は千堂を引き取って岐路についた。
道中、スーパーで夕食の買い物をして・・・。
***
「1階にダイニングキッチンとか、水周りがあって。2階がまるまるお部屋なの。」
「おもろい作りしとるなぁ・・・・・・。」
「まぁねー。ちょっと古いけど、中々住みやすいよ。」
姫さんは手早く冷蔵庫に物をしまう。
ワイはきょろきょろとあたりを見回す。
ソファーとテーブルがあり、テレビも置いてある。
が、お世辞にもおしゃれな部屋とは言いがたい。
と、横で姫さんがクスクス笑い出した。
「そんなに珍しいかなぁ。」
「あ、すまへん・・・あんま物色したらあかんわな。」
「いや、いいんだけどさ。あんまりにも楽しそうだから。面白くって。」
そら楽しいんやから当然やて。
「さて、簡単だけどもパスタでも作りますか。」
「お、姫さんワイも手伝うで!何か指示してや。」
「大阪から来て疲れてんでしょ?休んでなよ。」
「姫さんかてあれやろ?巡業帰り。せやから2人で作ろや。その方が速く終わるで。」
ワイはそう言って台所に立つ。
姫さんも「じゃぁ、一緒に作ろうか。」と言うてくれた。
一緒に台所で料理・・・まるで新婚さんみたいな気分や・・・。
「つーかさ、何で姫さんなわけ?」
「言うたやろ?はお姫さんみたいに綺麗やーって。」
「あんな社交辞令であだ名つけないでよ!」
「社交辞令やあらへん!ワイの本心やで?
は綺麗やよ。ホンマ、誰がなんと言おうとワイのお姫様や!」
「〜〜〜〜っ・・・」
お、顔赤くして黙ってもうた。
そんな所が可愛いんやー・・・て言うたら怒りそうやな。
「顔が赤いで。」
「そんな事ありません。」
「照れとるやろ。」
「照れてない!」
さくっ
「あ。」
何や、小気味良い音がした。
「・・・痛い。」
「何してんねん姫さん!」
姫さんの指は血がにじみ出とった。
「ちょっとエキサイトして指を切ってしまった。」
「姫さんあぶなっかしなー、指かしや。」
「あ・・・ちょっと・・・・」
姫さんの手首を掴む。
ちゅ
「た、武士!ばっちいよ!やめなよ!!!」
「ほならそれごとワイが消毒したる。」
姫さんの細く長い指を口内に運ぶ。
出血は、ワイが舌で丁寧に絡めとってやった。
鉄の味と、少しだけナスの味がした。
きっと姫さんが切ってたナスが原因やな。
「よーし、これで大丈夫や!
ほな、きちんと水であらってバンソーコしとき!」
「・・・・・・・・・はーい。」
そんなこんなで、ワイらはスパゲッティを作り終えた。
色んな話しをしながら、夕食をたいらげる。
と、姫さんが時計を見て席を立った。
「時間だ。」
「何や?なんの時間??」
「武士も一緒に行こう。」
「??」
ワイはわけが分からず、とりあえず姫さんの後を追った。
++++あとがき++++
何か千堂だと甘いの書ける。
え?別に甘くないって?
すいませんね。渡り鳥さんの精一杯の甘い内容なんです。
もっと甘甘の書くと自分がきもちわるいのでモムーリ!o(゚Д゚)っ
千堂いいね、書きやすい。
言語てきな問題さえなければとても書きやすい。
2004/04/08