みなみのしま


幕之内とのロードの帰りの事やった。


「たっだいまぁー!!」


ワイの前にどこぞの姫さんが立っとった。


プロローグ〜虎と子猫とちぃさな鈴〜


「あれ?さん、なんでこんな所に??
確か・・・地方巡業で東海地方に行ってたんじゃぁ・・・。」
「いやぁ、昨日興行が終わったからさ。
ジムの皆にお土産買ってきたよーんってなわけですよ。」

幕之内の知り合いらしいその女性は、そう言うて紙袋を持ち上げた。
ワイの目には手入れの行き届いた指先が写る。

「ところで、この人は?ジムの新人さん??」
「えっと、そうじゃなくって。西日本新人王の千堂武士さんです。」
「へー!西の新人王か!強いんだねキミ!」

そう言うと、女性はワイに向けてにっこりと微笑む。
・・・なんちゅー可愛さや・・・犯罪やでな・・・。



「・・・千堂さん?」



「はっ・・・」



しまった、ワイとした事が・・・ついうっかり見とれてしもた。

「あぁ、すまんすまん。
お姫さんみたいに綺麗やさかい。釘付けになってしもたんやー!」
「ほぇっ・・・お、お姫さんなんてそんな大したアレでは・・・」

姫さんは頬を赤く染める。
今度は照れとるんか、やっぱし可愛ええわ。

「ワイは千堂武士、ブシと書いてタケシと読ますねん。よろしゅー!」

ワイが手を差し出すと、姫さんは握り返してくれた。

「私はって呼んでね。
職業は女子プロレスラー。華の20歳よ。よろしく。」

20歳?なんや、ワイの1つ上やんなぁ。
年下やと思とったんやけど・・・童顔なんやな。

さん、外で話すのも何ですから、中入りましょうよ。」
「おお、せやな。入り入り!」

ま、ワイのジムやあらへんけど。


***


風呂に入っている最中。
姫さんと幕之内たちが楽しそうに話しているのが聞こえた。
ジムの人間とも仲が良いみたいや。
まてや・・・もしかして誰かと付きおうとるんやろか・・・??
まぁ、ありえへん事やないからなぁ・・・あの美貌やからな・・・。

「まいったわぁ・・・告る前から玉砕とか嫌やで。」

ま、考えても仕方あらへん。後で本人に聞いてみよ。
せや!彼氏いてへんかったらデートにでも誘ってみよか!
デートかぁ・・・せやなぁ、姫さん何が好きなんやろ。
食べ歩き・・・は、ワイも減量あるさかい。却下や。
おお!ええこと思いついた!ワイがたこ焼き作るっちゅーんはどや!
喜んでくれるとええなぁ〜。

「フ〜ン♪フンフンフ〜ン♪」

「青木ィイイィィィイィィィ!!!!!」
「どぅおおおおおおおおおおおおぁああああああああ!!!!!!!」

刹那、ワイの大事なモンが誰かに掴まれた。

「キサマ!間違いなく青木じゃねぇな!どこのどいつだ!!」
「いきなり勘弁してぇや・・・潰れるかと思たで・・・。」
「あぁ?見ねぇツラだな。新入門ならオレ様にきっちり挨拶せんか!」
「!!!」

うお・・・誰かと思たらミドル級チャンプの鷹村さんやんけ!
わいごっついファンなんや・・・サイン・・・貰われへんかな・・・。

「あぁん・・・?・・・何見比べてんだコラァ!!
色ならオレ様の方が破壊力あるだろうがぁあぁ!!」
「なっ・・・何すんねーーーーん!!!」

ガラッ

「どうしたんすか!鷹村さん!!・・・あぁ?・・・・?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・あわわっ。」

刹那の沈黙。

そして。

ワイの目には手のひらで目を隠す姫さんが写る。

「あんたら、フル●ンでなにしてんすか・・・。」



++++あとがき++++

東海地方とか書いてあるけど何県か知らない渡り鳥ですこんばんわ。
千堂moheです。moheています。
各キャラに色々な恋愛の仕方をして欲しいので、千堂に一目惚れを当てました。
一歩君は久美ちゃんに一目惚れなので、やっぱ同じタイプの千堂も・・・みたいな。


2008/04/08