みなみのしま


2人の男女が楽しそうに後楽園遊園地の門をくぐる。
それとほぼ同時に、また2人の男女がそれぞれ別々に後楽園遊園地の門をくぐった。

久美が日曜、一歩と出掛ける事を知った間柴。
彼は律儀にも日曜、久美の後を追い後楽園遊園地を訪れていた。
楽しそうに乗り物をめぐる2人を追う間柴だったが・・・。


プロローグ〜似たもの同士〜


ふと見ると、女が植え込みに身を隠していた。
視線の先は、どうやら俺と同じらしい。

「よし、一歩それでこそ男だ。ティッシュとハンカチ持たせといてよかったーー!!」

あからさまな尾行体勢。何人かがいぶかしげな目で女を見るが。
何も言わずに通り過ぎて行った。
つーかアンパン食ってんじゃねーよ。テレビの見すぎだ。

「おい。」

俺は植え込みに隠れるその女(確かとか言ったな)に声をかける。

「はっ・・・もしや私服警備員さんですか!?
すいません!あの、これには色々事情がありまして!!
私決して怪しいものでは!!」

勝手に慌てふためく
なぜか「すいません」を連呼する。騒がしいやつだ。

「よく見ろ。俺だ。」
「・・・ん?どこぞで見た顔だなと思ったら。間柴了じゃないか!」
「何してんだ。」
「一歩が久美ちゃんとデートだっつーからさぁ。
気になって心配だったから、ちょこーっと様子見てたわけよ!」

要するに尾行してたんだろうが。

「で?間柴了はここで何してんの・・・って聞く方が野暮だよね。」
「ケッ・・・てめーにゃ関係ねーよ。」
「久美ちゃんも大変だなぁ、過保護なおにーちゃんで。」
そう言ってはクスクスと笑う。
コイツの態度は満遍なく気に入らねぇが。
この『お前面白いなぁ』と言っている様な笑い方はその中でも5本の指に入る。
「・・・何が言いたい。」
「いんや?」
「だったら笑うのをやめろ。」
「ごめんごめん・・・だってさぁ。」
はそう言って久美と幕之内の方に目を向けた。

「羨ましいんだもん。」

・・・久美から前に聞いたことがある。
コイツはオレたちよりももっと・・・ガキの頃両親が死んだらしい。
だからこれは、きっと。コイツの本音だった。

「お、いっこと考えた!!」
はそう言ってパチンと手のひらを合わせる。
「デートしようぜ!間柴了!!」

「・・・・・あ?」

オレは自分の耳を疑った。


++++あとがき++++
続きますね。
本当はただ間柴とヒロインが尾行する超ギャグにする予定が・・・
間柴視点にした事で狂いましたね。
間柴さんあなた難しい視点してるのね。
でも好きですよ。うん。いいキャラしてるよ彼。
次からナレーター視点に戻そうと思ったり。

2008/4/3