みなみのしま

午後9時。

の家の電話が曲を奏でる。

「はい、です。」
『あ、あの、幕之内一歩です。』
「あぁ、こんばんわ。今日はありがとうね。」
『いえ、困ったときはお互い様ですし。』
一歩はそう言って電話の向こうで笑った。
も「初対面でお互い様って、凄いね。」と笑う。
「ね、幕之内君いつお暇?夜でも私は大丈夫なんだけど。
開いてるとき教えて。お礼したいし。」
『えっと、じゃぁ今度の土曜日のお昼なら・・・。』
「おっけー、じゃぁ、駅の前で待ち合わせしましょ。」

***

約束の土曜日。
一歩はなんとなくそわそわしながら駅前に居た。

待ち合わせの30分ほど前から。

「何か緊張するなぁ・・・。」
「ごめん!遅くなった!」
独り言を言っていた矢先。
がダッシュで現れた。
「あ、いえ大丈夫です。僕も今来たばかりですから!」
お決まりの嘘をつく一歩。
「そこのレストランでいいかな?」

と2人。
ファミレスに入る一歩。
女性とこんな風に会ったりした事が無いので、
大分そわそわする。
「何食べる?何でもいいよ?」
「は、はいえっと・・・」





「あの、お姉さんは・・・えーっと・・・」
「あ、ごめんね、名乗ってなかったか。
よ。。よろしくね。」
さんは・・・プロレスラーなんですか?」
もぐもぐとほおばりながら、一歩は話す。
「ん、そそ。あの日もね。試合だったのよね。」
がつがつと食べながらは言った。
「まず寝坊してさ。
ダッシュで走ってたら財布は落とすし。
実はあの後切符なくしてね。
もう厄日よ厄日!」
ガッと音を立てては自分の皿のにんじんにフォークを突き刺す。
「ま、試合は間に合ったんだけどさ。」
「リングネームが【ZERO】なんですか?」
「うん。かっこいいでしょ?」
「はい、何か男の人みたいな名前ですね。」
「男か女かみたいなミステリアスな感じにしたくてね。
でも女子プロレスなんだから、どっちにしろ女なんだけど。
幕之内くんは?何かスポーツやってるんでしょ?」
「え?なんで分かるんですか?」
「んー、体の肉の付き方とか。あと、昨日追いかけてきてくれたでしょ?
持久力もあるし。水泳とか、やってるのかなって。」
「あはは、実はスポーツとかは特にやった事なくって。
今まで家の手伝いしてたから、自然と筋肉ついちゃったみたいな。」
「ふーん、そうなんだ。親孝行だねぇ。」
はそう言って微笑んだ。
「あ、でも、最近ボクシングを始めたんです。
すぐそこの、鴨川ジムってところなんですけど。」
「へぇ!一歩君、ボクサーなんだぁ!」
「ボクサーって言うほど経験ないですけど。」
一歩は照れながら笑う。
さんは、プロレスどのくらいやられてるんですか?」
「んー、15の時からはじめたから、かれこれ・・・3年かな。」
「そうなんですかー。・・・・ってじゃぁ、さんて18歳なんですか!?」
「ん?そうだけど。」
「み・・・見えない・・・・。」
一歩は驚きのあまり目を見開いた。
長い髪のツインテール。すらりと伸びた長い足。
服の上からでも分かる、豊満なバスト。
・・・てっきりもう成人を超えていると思っていた。
「んー、まぁよく言われるよ。」
「18歳で女子プロレスラーですか・・・。凄いなぁ。」
「そんな凄くないよ。良かったら試合見にくるか?」
「ほ、本当ですか!?」
「うん、お財布のお礼だよ。チケット無料であげちゃう。」
「うわ〜!嬉しいなぁ!!」
「友達も連れておいで。
今度欲しいチケットの枚数電話で言ってよ。」
「あ・・・は、はい・・・えへへ・・・。」
友達・・か・・・と、一歩は少し苦笑いした。
その後少し2人は話をして
「・・・楽しかった。ありがとうね!」
「いえ、僕の方こそ・・・ありがとうございました。」
「じゃ、また今度。次は試合でね!」
「はい、お疲れ様でした。」
は一歩に手を振ると背を向けて去っていった。
「・・・さんか、いい人だったなぁ。」
一歩は嬉しそうに笑う。


++++あとがき++++

一歩君とヒロインは姉弟っぽい感じで。
てか一歩くんの可愛さは異常。
やっぱ20歳を超えてショタに目覚めたのかね。
何か成人すると年下が可愛く見えるらしいよ。
え?元々ショタだって?

2008/2/4