ある日を境に。
彼女が消えた。
物理的な意味じゃなくて。
ロード行っても。
公園に行っても。
どこにも居ない。
―――――――――胸騒ぎがした。
***
「・・・・・・・・・」
今日も居ない。これで3日目だ。
病気にでもなったのだろうか?
事故にでもあったのだろうか?
俺はありとあらゆる可能性を考える。
そしてその都度、「ただの偶然だ」と首を振る。
5日経った。
彼女は現れない。
俺の中で焦燥感がつのっていく。
今日もロードの最中、注意深く彼女の存在を探しながら走った。
そして、いつもの公園の前を走っている最中。
刹那。
「だーれだっ!!」
がしっ!
俺の背中に何かがのしかかった。
「っ・・・・さ・・・」
「ハッピーバースデー一郎!!!」
そう言ってさんは拍手する。
「・・・・・・?」
わけがわからない。
「今日はいつでしょう!」
8月27日ですよ。
「俺の誕生日。」
「正解!とゆーわけではいコレ。」
そう言って彼女は紙袋を俺に差し出す。
「別に、プレゼントなんか気にしなくても・・・。」
「いいじゃない?私が一郎と出会って初めてお祝出来る誕生日だったんだもん。」
去年はまだ挨拶仲間だったでしょ?と、さんは懐かしそうに言う。
「そうですね、もう・・・1年経つんですね・・・。」
俺はそう言って紙袋の中を覗き込んだ。
プレゼントはラッピングされていて分からないが、手紙も入っている。
嬉しかった。
ニヤニヤと俺の顔を覗き込むさん。
分かり安すぎるさんに俺は思わずため息をついた。
「してやったりとか考えてますね。・・・・・・顔を見れば分かりますよ。」
「むふふ・・・ね、ね、寂しかった?」
「はいはい、寂しかったですよ。まったく・・・事故か病気かと思って心配しました。」
「あはは、ごめんごめん。
いやぁ、何か一郎の誕生日はサプライズな感じにしたくてさ。
しばらく会わなかったのに、いきなりプレゼント持って現れたら驚くかなぁって思って。」
はぁ・・・と俺はため息をつく。
さんのサプライズは、本人が思った以上に成功を収めている。
本当に・・・寂しかった。
会えない日々が続いて、気が狂うかと思った。
イライラしてスパーの相手もボコボコにしてやった。(よく考えるといいとばっちりだな・・・)
「もう、急に居なくなったりしないで下さいよ?」
++++あとがき++++
宮田はヒロインが大好きなんです。
悔しいからあんま表に出さないけど。
お姉さんみたいに慕ってるけど、実は大好き。
このお話は、宮田はヒロインが大好きなんだと再認識させられたお話。
2008/03/04