みなみのしま

「一郎?」
「え、はい?」
「あんたまた話聞いてなかったね。」
ぐいぐいとさんに頬をひっぱられる。
「なにすんですか。」
「罰!」
ちょっと・・・ぼーっとしてただけで罰を下すのかアンタ。
「考え事ですよ。」
「ふーん・・・」
さんは知らない。
それが自分のせいだという事を。

最近鴨川ジムでさんの話が出たりするらしい。
一歩を通して、鷹村さん達が知り合ったからだ。
そして俺は知っていた。
さんと木村さんがデートした事とか。
一歩の家に下宿してる事とか。

でもさんは知らない。
俺がさんの事を好きで。
実はあなたと仲の良い異性に嫉妬している事。

「ね、今度一緒にご飯でも食べに行かない?」

さんはそう言って気兼ねなくご飯に誘ってくれる。
それは嬉しい。
でも、それは俺だけじゃない。木村さんも鷹村さんも、一歩も。
さんは気兼ねなく誘う。

「いいですよ?いつ行きますか?」
「えっとねー、来週の・・・―――――――――――――」

楽しそうなさん。
人と出かけたりするのが趣味らしいからな。
でも俺は違う。趣味でもなんでもない。
あなたと一緒に居たくて。
あなたの笑顔が見たくて。
あなたが好きなんだ。


嗚呼。

願わくば。

どうか。

俺を 好きになってくれないでしょうか?



++++あとがき++++

宮田はヒロインが大好き。
相変わらず大好き。
狂おしいほどにね。