ロードワークに行こうとジムを出た。
「たっつやくーん★」
外にはとても可愛い悪魔が立っていた。
「・・・はい。」
この女がこういう呼び方をする時は大抵からして何か【よろしくない出来事】が待っている。
「この前の賭けの景品をいただきに来たわ!」
「あぁー・・・何かそんな事もありましたなァ。」
「おう、何だ!楽しそうな話してるじゃねーか!!」
そこへ鷹村さんが割って入ってきた。
相変わらずタイミング最高だなアンタ。
最高に嫌なタイミングだよ。
「いやね、この前彼と賭けをしたのよ。」
「ほほーう、どんな賭けをしたのかね?」
「そこのカレー屋さんで【特盛りカレー食べきったら1万円!】てのやってるんだけど。
もし食べきったらなんでも言う事聞くっていう賭けですよ。」
「なぁるほど!で?賭けの結果はどうなったのかね?」
「制限時間20分で、私は18分20秒で食べきりましたぁ!!」
「おお〜〜〜!!!そりゃすげぇ!おめでとう!」
ぱちぱちと拍手する鷹村さん。
2人のワザとらしい(ま、実際ワザとだとうけど・・・)やりとりに若干イラッとする。
「で、達也くんに商品をもらいにきたわけよ。」
ふぁさぁ、とその長い髪をかきあげる。
偉そうな・・・。
「よーし、しょうがないな、そういう事なら木村の下僕権を1日だけに譲渡しよう!」
「って、待てよおい!何だよ下僕権って!俺の人権返せ!!」
「キサマには最初から人権など無いわ!」
鷹村さんは俺をバチーンと張り倒す。
いてーよ。
「ま、好きなように使ってくれたまえ!」
「ありがとう鷹村さん!」
満面の笑みで鷹村さんに手を振る。
チクショウ・・・文字通りなされるがままだ・・・・・・。
「さて、庶務雑務5号。」
「5号かよ!・・・ってなんだよそのどこかで聞いたことあるフリ!」
「来週1週間で暇な日を教えてくれ!」
「話を聞け!・・・つか、何で暇な日なんだよ。」
「んー、色々考えた結果。私が食べたいものを全部奢ってもらおうかと思ったので★
一緒にご飯巡りに行きましょう。全部達也の支払いね。ゴチんなりまぁーす!」
笑顔で俺に敬礼する彼女。
俺はため息をつき、同時に覚悟を決めると彼女に日付を伝えた。
「おっけー、じゃぁ私が決まったら連絡するわ。」
そう言って彼女は嵐の様に去っていった。
ん?
俺はふと考える。
これってもしかしてデートじゃね??
***
「遅いぞ庶務雑務5号。」
「・・・すいませんねお姫様。」
やたら張り切った天使の顔した悪魔が仁王立ちして待ち合わせ場所にいらっしゃった。
「ほらよ。」
俺は持ってきた花束を悪魔に渡す。
「おお、中々イキな事するねぇ。」
悪魔は嬉しそうに花を抱えて、ありがとう、と微笑んだ。
・・・やれやれ、本当に顔だけは天使だ。
「じゃ、行きますかお姫様。」
「よーし!!まずは――――――――」
はりきった悪魔は近くのファミレスに向かった。
奢らせると言われたから、もっと高価な店に連れて行かれるかと思ったが。
庶民的な悪魔だ。
・・・ま、店で一番高いステーキセット頼みやがったが・・・・・・。
その後、ケーキやらドリンクやらを注文し。
たらふく食べた悪魔は満足そうに「ごちそうさまでした!」と俺に頭を下げた。
「ねね、買い物一緒に行こうよ。」
「なんだよ、まだ奢らせる気か??」
「さぁ?」
クスクスと笑う表情は悪魔というより小悪魔か・・・?
「ったく。あれやこれやと、わがままなお姫様だこった。」
「ま。わがままも、一つの特権と言うことで。」
そう言ってシニカルに笑い、俺の手を引く悪魔。
「はやく行こう!」
「へーへー、わぁったよ!だから引張るなって。」
そういいながら、口の端がニヤけるのは惚れた弱みってやつかもな。
++++あとがき++++
木村は同い年でもお兄さんな感じ。
ヒロインは同い年でも子供っぽいカンジ。
それが私のイメージさ(・ω・)ノ
こんなカンジが理想。
木村→ヒロイン←宮田
いやぁ、欲張りですね私。