みなみのしま

僕・・・幕之内一歩は・・・。

「にゃむ・・・」

今・・・どうしようもない危機に直面しています。


僕と彼女の夏の夜。


僕の家に、さんがやってきて2度目の夏だ。

さんは夏になると僕の部屋に寝に来る。

彼女の部屋は日当たりが良すぎて、夏の朝とてもじゃないが快適に寝ていられない。

そこで、比較的涼しい僕の部屋に寝に来るのだ。

・・・が、今日はいつもと違っていた。


「あふぅ・・・・」

「っ・・・・・・・」


熱帯夜で、僕はふと目を覚ました。

そして僕の目の前には、何故か秘密の花園が広がっていた。

「・・・・・・・・・・」

ごくり、と生唾を飲み込む。

「何で・・・この人は下着姿なんだろう・・・・」

何故かさんはズボンを脱いでいた。

薄い布団は彼女の足にからまってぐしゃぐしゃだ。

さんは今年の夏場、甚平を着て寝ている。

基本的に寝るときはブラジャーを外す人なので、

今にもその形の良い胸が甚平の隙間から露になりそうな状態だった。

「っ・・・見ちゃだめだ・・・。」

さんはとても快適そうには見えないが、すやすやと眠っていた。

一定のリズムで、さんの胸が上下する。

落ち着け、落ち着くんだ幕之内一歩。

目を閉じろ、何も考えるな。

「うぅん・・・・」

さんは忌々しそうに寝返りを打つ。

・・・なんでこの人は色っぽい声出すんだろう・・・・。

僕は背中を向けたさんをチラリと見る。

扇風機のヴーンという音がとても大きく聞こえた。

「・・・綺麗だなぁ・・・」

僕は小さな声で呟いた。

さんの長い髪は、無造作に布団の上に散っている。

すらりと伸びた長い足は、薄い布団の隙間から見え隠れし、

なんだかとてもドキドキする・・・。

「・・・な、何を言っているんだ僕は・・・僕には久美さんという人が居るじゃないか・・・。
もう寝よう、何も見えないし聞こえない。明日は朝釣りの仕事あるしそれから」

「むにゃ・・・」

そのとき、目を閉じた僕はさんが動く気配だけを感じ取った。

そしてその直後。

全身に何か衝撃を感じた。

思わず目を開けると・・・

「う・・・ぁっ・・・・さ・・・・」

目の前にあるのはさんの顔だった。

「ぁっ・・・っ・・・・ぇと・・・」

色っぽい唇からは一定のリズムで息が漏れる。

その音は僕の耳に響いて脳を揺らす。

僕はさんの顔から目を逸らした。

が、次に僕の視界に入ってきたのは、最早甚平に収まりきっていない、今にもこぼれそうな胸。

さんの腕に押し付けられ、その形どおりに弧を描くソレは、とっても柔らかそうだ・・・。

って・・・僕は何を考えているんだ!!

こ・・・このままだとおかしくなりそうだよ・・・。

そして、そのときぼくはあることに気付いた。

「・・・からだが・・・うごかない・・・・」

ど、どうしよう、さん寝返り打って僕の上に足乗っけてる・・・

これじゃ動けないよ・・・動いて起こすのも嫌だしなぁ・・・

でも、このままじゃ僕の心臓止まる・・・

真っ暗な闇の中を、僕の目は泳ぐ。

でも、やはり気になってしまうのが男の子と言うもので・・・










ちらっ










いやいやいやいやいやいや!!!!!!

何やってるんだ僕は・・・


寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ

寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ

寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ寝ろ!!!!!!!!!!

とりあえず寝るんだ。目をつぶって・・・

「ううぅううぅぅぅ!!!」

「ちょ・・・さ・・・」

油断していると、さんは僕に抱きついて来てしまった。

まるで抱き枕のように僕に足を引っ掛け、両手で抱え込まれる僕。

もうわけわかんないよ・・・。


ドキドキドキドキドキドキ


僕は自分の心臓が異常なまでの早さで脈打つのを感じる。

こここ、このまま心臓が早くなりすぎて一生分脈打って止まりそうだ。

とりあえず寝なきゃ。

今度はお呪いみたいなのにしよう・・・・ひつじの数みたいな。

えーと、昔学校で習ったなぁ・・・



こ き く くる くれ こ こよ

何か違う。寝だから、えと・・・

ね ね ぬ ぬる ぬれ ねろ ねよ 

ね ね ぬ ぬる ぬれ ねろ ねよ 

ね ね ぬ ぬる ぬれ ねろ ねよ 

ね ね ぬ ぬる ぬれ ねろ ねよ 







ね・・・寝れないよ!!!!






++++++++++

「どうしたんだよ、そんな眠そうな顔して。」

・・・さん、あなたの所為ですよ。

「夜ちょっと寝苦しかったんです。」

「そうか?私は安眠だったぞ!居眠り操縦で船転覆とかさせんなよー??」

さんはそう言って僕の頭をわしわしと撫でた。

誰の所為だと思ってるんですか・・・と僕は心の中でつぶやく。

正確には数時間寝たんだと思うけど。

気付いたらもう起きる時間で・・・。

僕は目の下に分かりやすいクマをつけて仕事に励む。

さんには敵わないなぁ・・・。


++++あとがき++++

ちょっと前に半分だけ書いて保留にしてたブツですね。
とりあえずリアルに暑くなってきた今日この頃なので。
季節に合わせてうpします。

こういう話一度書いてみたかったwwww

そのうち裏書きたいなー。

全部夢オチなのwwwww(やってはいけない禁忌の夢オチ)

2008/05.13