目下には臨潼関が広がり、天化の家族との再会も間近に迫っていた。
久々の父子の再会との事で、天化の気持ちはにも伝わり、
彼女も、なんとなく楽しみであった。
しかし、そんな浮いた気持もつかの間。
目の前を、誰かの魂魄が通過していった。
「おい、今の・・・」
「まさか、武成王のとは思えないけど・・・
追手の方が一足早かったようね。」
「急ぐさ!!」
「いわれずとも!」とは翼閃で臨潼関に急降下する。
しかし、臨潼関の真上にきた瞬間。
「わりぃ、先行くさ!」
「へ?」
天化は何のためらいもなく翼閃からに飛び降りた。
「ちょおっ・・・こらぁー!!天化ぁ!?」
が慌てて手を伸ばすが、掌は空を切る。
重力にひっぱられ、天化の体は臨潼関に吸い込まれていった。
「〜〜〜〜・・・ったくもー!」
も慌てて、その後を追った。
・・・
翼閃から飛び降りた天化は、運よく敵の背後に着地した。
「盛り上がっちゃってるねぇ、俺っちも混ぜてもらえっかい?」
その言葉に、敵が振り返る。
それと同時に、天化のもつ宝貝は敵の一体を切り裂いた。
魂魄が封神台へ飛んで行く。
「誰だてめぇ!!」
声を荒げる敵に、天化は余裕綽々と言った表情である。
「俺っちは黄天化!黄飛虎の次男ってトコかな!」
天化が敵と対峙し。緊迫した空気が一瞬流れるが。
「そこをどけえええええ!!!」
「どふぅっ!」
その時、ちょうどは天化に追いついた。
彼女は停止の際、追手の一人にぶつかって吹っ飛ばしてしまった。
しかし、あくまでこれは事故である。
「あー・・・止まったー・・・。」
言いながら地を足で踏みしめ、安堵の溜息をつく。
「大丈夫かい?。」
天化が半分笑いながらに目を向ける。
「ま、なんとかね・・・そんな事より、武成王達は?」
「みんな無事さ。」
そう言って、城壁から下を覗き込む天化。
「天化!!」
その時、下から男性の声が聞こえた。
も横からひょいと下を覗き込む。
「よぉ、おやじ、元気にしてたかー?ずいぶんフケたなーっ!!」
「はー・・・随分とぞろぞろ歩いてきたものね。」
はあまりの人数に驚くと同時に呆れた。
しかし、血の繋がりという温かさを
ひしひしと感じたのもまた事実である。
「なんだか不思議ね。」
は小さく、言葉を漏らして微笑む。
ざわっ
その時、は背後からまごうことなき殺意を感じた。
慌てて振り返ると、槍の切っ先が天化めがけて伸びていた。
「てっ・・・・」
が声を上げると同時に。
天化は、ひょいと容易にそれを避けると、
敵の背後にまわってそのまま莫邪の宝剣で切り裂いた。
なんともあっけない、追手の最後である。
魂魄も無事に飛んでいくのを見届け。
天化は城壁からぴょんぴょんと飛び下りて家族の元へ向かった。
はその光景を、城壁に寄りかかって遠くから見つめる。
なんとも賑やかな一族だ。
そう思うと、自然と彼女の顔からは笑みがこぼれた。
「おーい!!まぁだそんなトコロにいるんかい?」
下から天化の声が聞こえ、はた、と気付くと
黄氏一族の視線はすべてに向けられていた。
「家族水入らずを邪魔するほどヤボじゃないわよー。」
の言葉に、天化は大きく手を振る。
「もう十分さ!だから降りて来いって!」
そこまで言われれば断る理由もないので。
は天化同様、城壁からぴょんと飛び、
黄氏一族の前に降り立った。
天化はの肩をぐいっと引き寄せる。
「ここまで俺っちを運んでくれた道士のさ。
も、俺っちと一緒におやじ達が西岐に向かう
手助けをしてくれるぜ。」
「です、よろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げる。笑顔とまではいかないが、
黄氏一族の顔から安堵の表情がこぼれた。
「それは心強い。よろしく頼む。」
そう言って、武成王はに手を伸ばした。
が握り返した手はとても温かく、
これが父と言う物なのだろうか、と密かに思った。
コロコロ・・・
そこへ、どこからともなく石が転がってきた。
みな視線を飛んできた方向へ向けると・・・
「太公望どの!」
「おお、武成王ではないか!偶然よのう!」
そこには、元始天尊の弟子、太公望師叔が立っていた。
彼を見たは、元々の目的を思い出す。
自分は、そもそもこの人の助力として収集されたのだ。
「太公望どの、本当に久しぶりだ・・・変わらねぇな、おめぇは。」
武成王の言葉に、太公望は少し表情が曇る。
「おぬしは色々あったようだのう。」
「あぁ・・・」
肩を落とす武成王の後ろから、ひょっこり天化が顔をだす。
「おおっ、あんたが噂の太公望師叔かい!!
俺っちは天下っちゅーんだ!」
天化の言葉に、太公望は当然の様に頷く。
「知っておる。十二仙の一人清虚道徳真君の弟子であろう?
そして、おぬしは。
同じく十二仙の一人霊宝大法師の弟子じゃったな。」
「その通りよ。」
「俺っち達も崑崙であんたの話は聞いてる。いっちょ力になるぜ。」
も、天化の言葉に続いて大きく頷いた。
「うむ!」
太公望師叔はうれしそうにほほ笑んだ。
は、崑崙に居たときに比べて、
自分の周りが一気に賑やかになり、嬉しい反面少し戸惑っていた。
++++あとがき++++
基本的に望ちゃんとかあんま絡まないと思ってくださいまっせー。
天化と天祥とナタクが好きなので。
この3人との絡みが無駄に多いかと。
特に天祥。僕のショタコンっぷりが盛大に発揮される事でしょう。
あーあ。
2009/2/12